2021年6月30日水曜日

レーザ加工機の大改造!!(前編)

どうも、キーボードを強く叩きすぎるせいか、この頃指が痛いです。サンドマンです。


さて先日の記事にて、僕らのガレージの機材にレーザー加工機が仲間入りしたことをお伝えしました。だがしかし、長年使い込まれているせいか、レーザの出力が低下していて、刻印はできたがカットができない・・・


そこで、私たちは一念発起し、このマシンを大幅に、大胆に改造することを決意したのです。今回の記事からその一部始終をレポートしていきます。ごゆっくりお楽しみください!


<おことわり>
今回ご紹介する改造では、Class4レーザ機器を取り扱います。レーザ機器は取り扱い方を誤ると、重篤な火傷や失明、火災の発生につながるリスクがあります。また、Class4のレーザ光は、レーザ光の直視だけでなく、その(拡散)反射光の目視にも眼障害のリスクがあります。作業に当たっては、レーザに関する十分な知識を持った方の助言や支援を受けることをお勧めします。本記事を参考にした作業により傷害や火災が発生した場合の責任は、当ガレージでは負いかねます。


【まずは分解!】

改造の手始めに、まずはカバーを取り外してみましょう!

カバーの内側、本体右側面(矢印の位置)に制御基板類がいるようです。

側面カバー内部はこんな感じ。意図的にぼかしを入れています。
(なぜ作業前の写真が残っていないのか・・・いつものことだけど笑)

基板はメイン制御(+モータドライバ)用、ポンプ制御用、レーザ発振回路用の3つに分かれています。レーザ発振回路の下にいるのは、レーザ発振管内に水を還流させ、冷却するためのポンプです。レーザ発振管は赤い破線の位置に取り付きます。

また、こちらはハニカムテーブルを取り除いて機内をのぞいた図です。

冷却水のタンクはレーザー発振管の真下に鎮座しています。X、Y各軸はステッピングモータ+タイミングベルト駆動直動ガイドはアルミフレーム+ウレタンローラのローコスト仕様です。(そういえばこれ、CNCルーターと同じだわ!

レーザの光学系については、もう少し後で説明します。

【レーザー発振管の換装!】

構造が大方理解できたところで、今回の改造の目玉、レーザー発振管の取り替えにかかります!

今回のために中国通販サイトで調達!
ガラス製品とあって、相当丁寧に梱包されていました。


上が今回買ったもの、下がもともと付いていたもの。

何とサイズ感がほとんど一緒!こんなものが通販サイトで気軽に買えてしまうなんてびっくりです。(というか、恐ろしさを覚える・・・)



ちなみにレーザー発振管の基本構造は上図の通りになっています。ざっくりな仕組みを説明しますと・・・
ガスを詰めた管の中で、左右の電極から直流電源により電子を放電します。電子はガスの分子を励起させ(エネルギーを上げ)、その反動で特定の単波長の光を放出します。さらに、発生した光を左右の鏡で行ったり来たりさせることで、その光によりガスの分子を励起させ、さらに光を放出します。その結果光の強度はどんどんUpします。その一部が右側の部分透過鏡から放出され、強力なレーザ光になります。
なお、今回使用しているガスはCO2(二酸化炭素)です。

この仕組みからもわかるように、レーザー発振管を取り付けるには、両端の電極とレーザ発振回路基板を結線する必要があります。また、レーザ発振時には大量の熱が出ますので、両端の口を介して内部に冷却水を流し込む必要があるわけです。

そしてこちらの写真赤丸の箇所が電極。

電極はレーザ発振管の仕組みからもわかるように、ガラスに直接埋められています。というわけで結線時に強い力をかけたら一発で破損、The ENDです。

この電極に慎重に配線を結線します。

配線をした様子がこちら。
ケーブルを引っ張って壊さないように、ケーブルを途中で発振管と固縛。

電極には高電圧がかかりますので、しっかりと絶縁します。
さらに、冷却水用の配管もセット。

これを本体に取り付けた後、配線をレーザ発振基板に、配管を冷却水用ポンプと繋いで、レーザ発振管の下準備は完了です!



【レーザの試射!】

準備が整ったら、レーザ発振管の試射をしてみます!

機材を全て屋上に持ち出して準備。

というのも、レーザ光が予想外の方向に飛んでしまったら、室内だと何かに着火し燃え上がるリスクがあります。屋上であれば、床や壁面がコンクリートなので、そのリスクを下げられます。壁面も人の背丈ほどはありますので、近隣の方にも迷惑はかかりません。

きちんとレーザが出ているかは目視ではよくわからないので(というか裸眼で目視してはいけない!!)レーザの光路上に紙をかぶせ、焦げ目が付くかどうかで確認します。
PCから極々短い加工プログラムを実行させて、テスト!


段ボールの左下端をご覧ください。
お分かり頂けたたろうか・・・

おお!しっかり黒く焦げているではありませんか。
レーザ発振管の取り付け成功ですね!




【冷却ポンプの換装!】

レーザ発振管と合わせて、今回は冷却ポンプもより強力なものに変えちゃいます!今のポンプが不十分かは正直分かっていませんが、夏場でもレーザ発振管を傷めずにバリバリ使うためには、少しでも冷却能力を上げてあげた方が得策でしょう!

というわけで、まずは古いポンプを外します。

左が交換するポンプ、右がもともと付いていたポンプです。
2周りくらいデカイ!

さて、交換するにあたって面倒臭いのは、継ぎ手の形状が違うこと。
うまい継ぎ手をホームセンターで探し回ったのですが、なかなか見つからず・・・(ネジ径や雄雌の組み合わせがバッチリなものが無い・・・)。
それなら、複数個の継ぎ手をうまく組み合わせてやろうじゃないか!と思ったのですが、たくさん継ぐとスペースが嵩み、どうしても収まらない箇所が・・・。

それなら、作ればいいじゃない!

Mr.H氏、早速真鍮の丸棒を旋盤にセットして加工開始!

あっという間に完成!さすがです。

うまく組み込んだ結果がこちら。
何とか収まった・・・

ポンプの右側に自作の継ぎ手。上側はありとあらゆる継ぎ手を強引に組み合わせて何とかしました。(力技、ですね笑)


【カバーを取り付け、安心したのも束の間!】

さてさて、レーザ発振管とポンプがうまく取り付いたことだし、外したカバーを元に戻していきましょう!

というわけで、レーザ発振管を覆うカバーを付け直す。

何とこのカバーが曲者で、もともと付いていたレーザ発振管にピッタリフィットするサイズ感だったので、相当キツイ。突起などがありどうしても収まらない箇所は、強引に切り欠いて回避。相当ぎゅうぎゅうです。

さて、この状態でもきちんとレーザーが撃てるか念のため確認してみよう!ということになり、試したみたものの・・・


レーザーが出ない。


おかしい、どうなっているんだ?何度も試してみると今度は・・・


電極付近から白煙が立ち上る!


これはやばいぞ。と、カバーをずらし、電極付近を確認しようとガサゴソいじったその瞬間!



プシューっ!




「あぁ~!CO2の音ォ〜!!」







最悪の事態が発生です。レーザー発振管の中に充填されていたCO2が抜けてしまいました。破損です。


今まで色々頑張って来たのに・・・。癇癪を起こしたMr.H氏の図がこちら。


この日、ガレージはどんよりとした空気に包まれたのであった・・・




結果、レーザー発振管を再度買い直す事態に。レーザ加工機復活までの道のりは、少々険しい・・・




話が長々として来ましたので、今回はここまで。後編は近日公開予定です。ぜひご期待ください!


なお、ネタバレみたいで恐縮ですが、こちらのレーザー加工機、現在改造が完了しバッチリ使える状態になっております。ただいま使用者募集中!ぜひぜひお気軽にお問い合わせを!


(サンドマン)


EmoticonEmoticon