2021年7月14日水曜日

レーザ加工機の大改造!!(後編)

近頃、出張先のホテルのあるフロントの方に、しょっちゅうスマホ乗り換え相談をされます。なぜだ。

どうも、サンドマンです。

先日の記事で紹介した僕らのガレージの新顔、レーザー加工機。今回はそのレーザ加工機をきちんと使えるようにするための改造の模様について、後編の記事をお送りします!

(前編を見ていない方はこちらから!)


<おことわり>
今回ご紹介する改造では、Class4レーザ機器を取り扱います。レーザ機器は取り扱い方を誤ると、重篤な火傷や失明、火災の発生につながるリスクがあります。また、Class4のレーザ光は、レーザ光の直視だけでなく、その(拡散)反射光の目視にも眼障害のリスクがあります。作業に当たっては、レーザに関する十分な知識を持った方の助言や支援を受けることをお勧めします。本記事を参考にした作業により傷害や火災が発生した場合の責任は、当ガレージでは負いかねます。


【レーザ発振管の取り付け、リベンジ!】

前回の記事で、レーザー発振管を割ってしまい、中に封入されていたCO2が吹き出して使用不能に・・・(泣)
仕方がなく、もう一度レーザー発振管を購入し、再度据付にトライします!(ただこれ、注文してから届くまでに3週間くらいかかるので、時間的にはなかなかの痛手・・・)

再び届いたレーザー発振管。
鬼門は電極への配線接続・・・

前回失敗に至った原因の一つとして、レーザー発振管を筐体に収める際に、配線に無理な力がかかり、電極から配線が抜けてしまったことが考えられます(テスト時に白煙発生、Mr.H氏感電、などの状況証拠に基づきます笑)。その反省を生かし今回は、
  • 電極への配線接続をより強固に!(力がかかっても抜けないように)
  • 電極から配線を引き出す向きを90度曲げる!(そもそも力がかかりにくいように)
の改善を加えました!


作業の様子はこんな感じ!
接続用の圧着端子を旋盤で自作してしまいました。

これをケーブルと熱収縮チューブと組み合わせ、
より見た目がちゃんとしたケーブルの完成です。

これを端子に接続した様子がこちら。配線を電極から90度曲げて引き出し、筐体に収めやすいようにしました。曲げ部分で少々手直しをしましたけれども・・・

こちらを再度筐体に収めて動作テストを実施し、今度は問題なくレーザーが撃てることを確認しました。同じ失敗を2度繰り返さなくてよかった・・・!


【光軸の調整!】

レーザーがきちんと撃てるようになったところで、今度は光軸の調整をしなくてはなりません。この理由を説明するために、前回の記事で説明しなかった、レーザー加工機の光学系について説明しましょう!


光学系の全体が見えるように撮影した写真がこちらです。この図のように、発射されたレーザは3枚のミラーを介して、加工ヘッドの集光レンズに届きます。レーザ光は集光レンズで収束されて、加工対象(ワーク)に刻印や切断に必要なエネルギーを与えられるようになります。

またこの装置には、加工用のCO2レーザとは別に、照準合わせ用の可視光レーザも付いていて、ハーフミラー(片側からの光は通過、もう片側からの光は反射する)を使って、加工用のCO2レーザと合流させ、同じ経路を通り集光レンズに届くようになっています。



ここで、レーザーの光が通る経路(光軸)は、上図のようなイメージで各軸の駆動方向と平行にしておく必要があります。きちんと平行出しが出来ていないと、軸を動かした際に、レーザ光がミラーやレンズに当たる位置がずれていき、ばらつきます。このばらつきを一定の範囲に収め、各軸をどのように動かしても、レーザ光が集光レンズに当たるようにしなくてはいけません。
なお、あくまで集光レンズに「当たる」ようにすればよく、厳密にレンズの中心に当たるように調整する必要はありません。光はレンズに当たりさえすれば、凸レンズの構造上、決められた焦点で必ず収束しますからね。

というわけで調整をやっていきます!


ご覧のように、ミラーやレンズの直前に方眼紙を被せます。この状態でレーザを打つと、焦げ跡がつきますね。


軸を手で動かした後、再度レーザを打つと、こんな感じでずれた位置に焦げ跡が付きます。この焦げ跡の位置が、なるべくずれないように、かつミラー/レンズに収まるように調整していくわけです。


ミラー①・②およびハーフミラーの姿勢は3箇所のネジを回すことで、2方向に角度調整が可能

調整の順番は、レーザー発振管に近い方から順番に。これ間違えるとせっかく調整してもちゃぶ台返しを食らって無駄になりますよ。
また、レーザー発射の際、いちいち加工プログラムを走らせると、軸が自動で動いてしまい確認が面倒くさいので、レーザ発振回路基板上に実装されている試射ボタンを使って、手動でレーザを発射しました。このあたりの使い方は、レーザ加工機を自作しているみら太な日々さんのWebサイトを大いに参考にさせていただきました。(ありがとうございます!)

ある程度調整ができたところで、カットがきちんと出来るか確認していきましょう!

確認の様子を動画でご覧ください!(少々長尺です)


動作中の見た目はなかなか良好そうなのですが・・・

ワークをひっくり返してみてみると・・・

まだうまく切れてないっすよ・・・

というか、場所によって切れ具合に差がありませんかねえ。図の上の方が全然切れていない。

チックショー!!

【最後の関門:レーザ発振管の位置調整!】

なぜまだ切れないのか。光軸が適切に調整されているか再確認します。

レンズへのレーザ光の当たり具合はどうか・・・

焦げ目の位置を見るに、レンズのかなり端に当たっているような・・・
軸の位置によっては、これ、レンズを微妙に外しているのでは・・・?

ミラーの角度を絶妙に調整し、軸の位置によるばらつきをさらに抑える作戦もありますが、レーザ光がこれだけレンズの端に当たる状況だと、許容されるばらつきが小さすぎて、ミラーの角度だけでうまく調整するのには、どうしても限界があります・・・
そこで。

「もう仕方がない。レーザ発振管自体の位置を動かす!」



説明しよう。現状、レーザはレンズの端に当たりやすい傾向があるので、これをなるべく中心に当たるようにします。今回の場合は、レーザ光の進路を遡りながら確認すると・・・
図のように、発振管の取り付け高さを低すぎたということがわかります!

というわけで、発振管の高さを少し上げます!(泣)
それにしても、ここまで機内の調整をするたびごとに、カバーをつけたり外したり・・・
地味に面倒くさかった・・


調整が完了し、再度加工テストを実施。
そして、ついに!

切断に成功!!!
ヨッシャー!喜びもひとしおです!

ちなみにこの動画で製作されたこの部材、ガレージメンバーのNiiさんの手によってこちらの作品に仕上がっています!


パワーアシストシステムの圧力モニタなんだとか。完成が楽しみ・・・!
詳細はNiiさんのブログ「いろいろ作るよ!」などで逐次公開されると思いますのでこちらも要チェックです!


と、いうわけで、ついにレーザ加工機の改造が完了し、バッチリ使える状態となりました!ただいま使用者募集中!ぜひぜひお気軽にお問い合わせを!

私も目一杯使い倒して、何か面白いものを作ってみたいなあ〜🎵


それでは今回はこれにて!


(サンドマン)


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