2021年8月18日水曜日

ジェットエンジンを作る 其之四 [Ns-Ds線図]

最近自作したCNCフライスが、まるで自分の分身のように感じてきている...どうもMr.ヘルニアです‼

自動化に対して抵抗があった、ひと昔の自分がばからしく思っちゃいますね♪


さて,これまでの記事では、ジェットエンジンの設計に欠かせない熱サイクルや、効率の計算について触れてきました。今回からはより具体的なお話として、出力(馬力)、回転数などの諸元をどれぐらいにするのか、決めていく過程を説明したいと思います。


さて、ここで1つ問題です。重量2000tの大型タンカーのディーゼルエンジンと、重量3.2tのスペースシャトルのエンジン(SSME)どちらが出力が大きいと思いますでしょうか?


答えは...どっちもほぼ同じです‼で10万馬力です‼


2つのエンジンの諸元を整理すると…

大型タンカーのエンジンは…

  • レシプロ式エンジン(シリンダーの上下運動で駆動する)
  • 重量2000t
  • サイズはおよそ2階建てのアパート
  • 最高回転数はおよそ100rpm

一方、スペースシャトルのメインエンジン(SSME)は...

  • ターボポンプ式エンジン(高速で回転するインペラ「プロペラ」で駆動する)
  • 重量3.2t
  • サイズはおよそ小型のトラック位
  • ターボポンプ最高回転数はおよそ25000rpm


2つのエンジンを比較してみると、出力が一緒なのに、諸元が全然違うのですね。さて。ここで、出力サイズ回転数、そして駆動方式にはそれぞれ何らかしらの相関があるのでは?ということに何となく勘づきませんでしょうか?(もし、感覚的に感じている人はエンジニアとして素質があります‼)



実は、昔の人も同じことを考え、これら4つのパラメータを”正規化”し一つの表にまとめたところ、驚異の事実が分かったのです‼




その事実とは~、

「それぞれの駆動方法ごとに、得意な回転数やサイズ、効率がマップのように存在する

ということ‼

このマップこそが、今回の主題でもあるNs-Ds線図なのです‼

デデン♪


この図の横軸は代表直径をヘッド(揚程という圧力の指標)と体積流量で正規化したDs値、縦軸は回転数を同じくヘッドと体積流量で正規化したNs値となります。

端的に言えば横軸がサイズっぽい値、横軸が回転数っぽい値と考えて頂ければと思います‼



いろんな線が描かれていますが、これはそれぞれの圧縮の形式によってグループ分けでき、整理すると・・・

ハイ!ドン‼

それぞれ等高線の集まりがそれぞれの形式を表しており、それぞれの曲線の横に書かれているのが効率となります。




さて、では早速、冒頭に述べたディーゼルエンジンSSMEをプロットするとどうなるでしょうか。結果は~

デン‼



こんな感じで、それぞれの駆動方式で80%付近と高い効率である事が分かります。

こう考えると、ジェットエンジンロケットエンジンは燃費が悪い等々よく言われていますが、このNsDs線図の概念を知っていれば、それは小型でパワーが大きい為、言い換えればパワーウェイトレシオが高いだけで、発生するエネルギーも大きいから燃料も大量に消費すると考える事が出来ますね‼

同じ事を同じ効率でピストン式のディーゼルエンジンガソリンエンジンで行おうとすると、、、冒頭で出した2000tもの大きさになってしまうのが分かると思います。


さて、今回はここまで、Ns-Ds線図の登場まで長々と説明してしまいましたが、設計においてはこのように諸元を具体的に”定量的”にすることが超~重要なのです‼(すでに、気づいている方、ありがとうございます!)

そして皆さんに知って欲しかったのは、”適当な勘”ではなく、Ns-Ds線図のような様々な”定量化された勘”世の中には存在する、ということ。設計するときには、”適当な勘”ではなく、できれば”定量化された勘”を駆使してほしい!実は、これが今回記事の裏の趣旨となります。


それにしても過去の偉人は凄いですよね!そんな方々の英知を使わないのはなんだかもったいないし、なんだか可哀そうですよね...



以上

Mr.ヘルニア




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