2021年4月14日水曜日

そうだ! メンマを作ろう!! 第11話(美味しくできた理由を、考えてみる。)

どうも、サンドマンです。先日Web飲み会をした大学の友人が新しいチョコレート屋さんの運営に携わっていると聞き、ネットで商品をポチって食べてみました。

ここの特徴は、店でカカオ豆からチョコレートを製造していること。カカオ豆の産地や焙煎方法などの違いで、ここまで風味の違いが出るのか!とびっくりしました。ご興味あれば皆様も是非。

前置きが長くなりましたが、僕らのガレージでこれまで取り組んできたメンマ作りも、同様に「素材からつくるとどうなるのか?」を試す企画として、2シーズン掛けて取り組んできました。

1シーズン目は破竹を使ってのメンマ作りに挑戦しましたが、可食部はごくわずか。多くは繊維質で噛みちぎるのも困難な代物・・・
一方で、2シーズン目は孟宗竹を使ってのメンマ作りに挑戦。1シーズン目の反省点をいろいろと生かした結果なのか、美味しくいただくことができました!

写真左:1シーズン目のメンマ
上:わずかにできた美味しいやつ(第5話)、下:繊維質で噛みきれないやつ(第4話
写真右:2シーズン目のメンマ第10話


今回は、1シーズン目と比較して、2シーズン目のメンマはどうして美味しく出来たのか?について、いろいろと考察していきたいと思います。ちょっと文章長めですが、しばしお付き合いくださいませ。

【今回上手に出来た要因は何か?】

まず、美味しく出来た要因を考えるに当たって、1シーズン目終わりの「どうしてうまくいかなかったのか?」を考察した記事をおさらいしてみます。
この記事では、オライリーより出版されている、発酵の技法 ―世界の発酵食品と発酵文化の探求 を参考に、うまくいかなかった原因として、次の5つを挙げました。以前の記事とは順番を変えています)
  1. 発酵前に竹を茹でたことで付着していた乳酸菌が死んでしまった
  2. 水道水の消毒薬が原因で、乳酸菌が死んでしまった
  3. 空気の遮断が不十分で、乳酸菌が繁殖しなかった
  4. 塩分濃度が高すぎて、乳酸菌が繁殖しなかった
  5. そもそも、乳酸菌で分解できないレベルの竹の硬さだった
2シーズン目はこれらの一部を「多少」意識してメンマ作りをしてみました。作り方の違いから、上手にメンマを作るヒントを探っていこうと思います。

【加熱や水道水の影響は無しか】


まず、上記の1, 2についてです。一般的にメンマ作りでは、最初に竹を茹でてアク抜きする必要がありますので、2シーズン目でも竹を茹でています。これについてはどうしようもありません。また、メンマを漬け込んだ塩水には煮沸した水道水を使用しています。煮沸で取り除けない、消毒成分・有害物質が残っていないとは言い切れません。また、発酵時に乳酸菌を意図的に補うことはしませんでした。

それでもメンマ作りはうまくいきましたので、加熱や水道水の影響はほとんど無いものとみて良いかと思います。

竹を加熱すると、竹に付着する乳酸菌はほとんど死滅するものと思われます。とはいえ、乳酸菌は自然界にありふれた菌で、量はともかく空気中にも浮遊しているそうですので、相当気を使わなければ、嫌でも再付着してしまうのでしょう。
また水道水に関しては、日本の水道水であれば煮沸で塩素を取り除けば問題なく使える、ということでしょう。「発酵の技法」で紹介されている煮沸で取り除けない消毒薬「クロラミン」は、日本ではほとんど使われていないとのことですし、塩素から自然に合成される量もごくわずかなのでしょう。

【塩水に漬ける方法は良好!】

2シーズン目の漬け込みの様子。
あらかじめ塩水に沈めた状態とした。

次に上記の3, 4についてです。乳酸発酵を進める際には、乳酸菌以外の菌が繁殖しにくい「選択的環境」をつくることが重要です。とくに重要なのは、塩分濃度・空気の遮断 の2点です。

2シーズン目では1シーズン目と異なり、茹でた竹を最初から塩水に漬け込んで発酵させるようにしました。乳酸菌が活動しやすい塩分濃度(5〜10%くらい)となるように、あらかじめ塩水の濃度を10%に調整しました。また、水の中に沈めることによって、空気との接触を確実に断つことができます。

塩水に漬け込んでしばらくした後、一部の容器で、空気に触れやすい蓋の裏部分に粘り気のある何かが付着していました(お見苦しく写真は見せられませんが・・・)。しかしさらに時間が経つとその粘り気が消えていたのです。おそらくこの粘り気、乳酸菌以外の菌(腐朽菌?)によるものだったのではないかと推測しています。密閉容器に塩水をいっぱいに入れたことで次第に酸素が無くなり、塩分濃度と相まってこれらの菌が駆逐され、乳酸菌が活性化したのではないかと思われます。まさに「選択的環境」。あらかじめ塩水に漬ける方法は、意外と良かったのかもしれません。

1シーズン目の漬け込みの様子。(第2話より)
大量の塩を投下している。
塩水に浸かっている様子はない。

一方で、単に塩漬けする方法が「悪い」とは言い切れません。野菜を塩漬けすれば、塩の浸透圧の効果で野菜内部の水分が次第に染み出して塩水ができ、塩水により空気が遮断されますから、最初から塩水に漬け込むのと同じ状態になるでしょう。ただ、使う塩の量をひどく間違えると上手くいかないかもしれません。場合によっては漬物石などの重しを使って、野菜から水分を出しやすくしたり、塩水に野菜を押し込む工夫も必要でしょう。
例えば1シーズン目のように、ものすごく大量の塩を投下し、重しを掛けない状態で放置すると、竹から水分は染み出すものの、塩が軽く吸水する程度で塩水は全くできず、空気が遮断されない。しかも塩分濃度は乳酸菌が好む範囲よりもはるかに高くなる。これでは乳酸菌が繁殖しにくいはずです。

要するに、現段階でわかることは、塩の量や重しの掛け方を絶妙にコントロールするよりも、最初から塩水に浸したほうが、仕込みが簡単だった。ただそれだけかと思います。塩分濃度や空気への触れ具合を変えた複数サンプルを用意して比較すれば、より詳しいことがわかるのでしょうけれども・・・

なお、一般的な漬物で塩水に漬ける方法を取ってしまうと、食感が損なわれる、旨味成分が塩水に溶け出し過ぎるなどの問題が生じるかもしれません。ですからこれは「どうせ漬けた後に天日干しする」「味は基本的に調味料頼り」だからこその、メンマならではの作戦と言えるのではないでしょうか。


【やっぱり使う竹の問題だった?】


最後に上記の5について。1シーズン目では破竹、2シーズン目は孟宗竹と、異なる種類の竹を使用しました。どちらの場合も採集する竹の基準は、タケノコ以上、最大でも人の背丈(150cm)としていました。これは「ザ!鉄腕!DASH!」で紹介された、麻竹からのメンマ作りの情報を参考にしてざっくり決めたものです。ただ、今になってよくよく考えてみれば、全く異なる種類の竹に対して、同じ基準を当てはめたのは正しかったのか、という話です。

そういえば、2シーズン目の仕込みの際、採取した孟宗竹の一部をしばらく放置していたら、早速腐り始めた箇所がありました。。。慌てて切り落とし、腐っていない箇所を仕込んだ覚えがあります。1シーズン目に使用した破竹の場合には、こんなことはなかったような・・・。竹が腐りやすいということは、竹の組織が分解しやすいということですから、乳酸菌による発酵もしやすい、ということかもしれませんね。

と、いうわけで、2シーズン目のメンマ作りが上手にできた最大の要因は、単に
「使う竹の種類を変えたから」
ということではないかと推測しています。(なんだこれ)
破竹の場合、孟宗竹に比べ丈の低いものでないと、メンマにすることが難しいのかもしれません。

【メンマに使える竹と使えない竹を、どう見極める?】

では、竹の種類によらず、メンマに適した竹をどう見極めるのか?以前、第6話の考察龍谷大学里山学研究センター2015年度年次報告書の論文にて、「初期硬度30以下ならば、メンマに適した硬さになる」旨の記述を見つけました。この硬度は、デュロメータと呼ばれる計測器で測ったものです。下図のような仕組みで、針の押し込み深さと押し込み力の関係性から硬度を相対的な数値として硬さの数値を定めます。計測対象に応じて針の先端形状にはさまざまな形があり、この論文では「タイプDO」という針を使っています。

デュロメータ(ゴム硬度計)とは


私たちもこれに倣って、ネットでデュロメータを購入し、竹の硬度計測に取り組んでみました(詳しくは第8話参照)。安く出回っている市販品の多くは針の種類が「タイプA」でしたので、仕方なくそれを購入して測ってみましたが、以下のような問題が多発し、測定結果の分析を断念しました。(漬け込んだ後の硬さも測るには測ったんですけどね。)
  • 近い部位を測っているはずなのに、計測値のばらつきが大き過ぎる。
  • 針が竹に刺さる(刺さらない前提で使う計測器、ですよね?)
  • 竹は切った直後からどんどん柔らかくなっていく。時間が経ってから測ったので、切った直後の硬さが把握できなかった。。。
  • 計測後、デュロメータを放置すると針の動きが渋くなる。内部が錆びついている?


この辺りを考えるに、竹の硬度計測にデュロメータが(少なくともタイプAは)適していないのでは?という気がしてきたわけです。どうしたら良いのだろう。

ネットで他にいいものがないか探してみたところ、面白いものが見つかりました。
果実硬度計。

こちら、針状のものを押し込む仕組みはデュロメータと似ていますが、デュロメータとは異なり、積極的に対象物に針を差し込んで使うもののようです。針の交換や洗浄もできるようですから、メンマの硬さにあった針を自作する、という方向性もアリかもしれませんね。現在鋭意検討中です(笑)

メンマ作りに適した竹の硬さ計測法が確立できれば、仕込む前に使えない部位を弾くことができ、効率的です。また、元の硬さに応じて漬け込む期間を変えることで、どんな部位でもちょうどよい硬さに仕上げることができるのではないでしょうか。

【まとめ】

本文がだいぶ長くなってしまいましたが、今回の結論は以下のようになります!
(あくまで個人的な考えです。責任は負えませんのであしからず。)
  • 一番重要なのは、使う竹の元々の硬さ。
    (うまく測れると良いのですが・・・)
  • 塩水に漬け込むと、楽に乳酸菌に好適な環境を作れる。
  • 漬け込む前に竹を煮るのは問題ない。塩水に使う水は、煮沸した水道水でOK

そうそう、このあたりのノウハウをうまくまとめて何か形にできないでしょうか・・・
例えば、レシピにしてまとめるとか・・・
あ、cookpadとかにまとめたら楽しいですかねえ?


ちょっと風変わりな、なんとなく科学実験的な、そんなレシピがたまにはあっても面白いのでは?と考える今日この頃です。ちょっと検討してみようかな。
何かみなさん、いいアイデアがあればコメント欄で教えてください!!


それでは今回はこれにて。ではでは!

(サンドマン)


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